Winnyの中継者は可視化ツールによってどう扱われるのだろうか

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それって本当に、「一次送信源じゃなくてキャッシュとしてファイルを持っているIP」なのでしょうか。
(中略)
そうです。キャッシュを持っていない人のIPアドレスがリストアップされることがあるのです。

おお。そんな機能のことはすっかり忘れていた。早速本棚から「Winnyの技術」を引っ張り出して確認してみた。確かに中継について書いてある。これは重要な見落としをしていたなと思ったのだが、中継が存在しても権利者がやることにさほど変わりはないだろうと考えるに至った。
第一に、ファイルの実体がそのIPアドレスに存在していなくても、ダウンロードを行うユーザからすればファイルを送信しているのはそのIPアドレス=中継ユーザである。権利者からすれば「あなたのIPアドレスから私が権利を所有するファイルが送信されている」という事実に変わりはない。いきなり法的措置は無理でも警告をしてくる可能性はある。
第二に、「Winnyの技術」にこんなことが書かれていた。

中継をしている途中で要求元からのダウンロードがキャンセルされても、中継ノードが開始したダウンロードは続けられます。このため中継ノードには高い確率でファイル本体全体がキャッシュされます。

Winnyの技術P.67より引用

1回でも中継してしまえばキャッシュは残るわけで、ファイルの確認のためという名目で可視化ツールが1回必ずダウンロードを行ったらどうなるか。目出度くキャッシュは生成され、中継ユーザからキャッシュ持ちユーザに変わるのだ。可視化ツールがダウンロードを行うのは卑怯だろうか。俺はそうは思わない。Winnyを起動していればいつかは起こることだからだ。
結局、どんなユーザであってもキーにIPアドレスが書かれていた時点で警告を受ける可能性に変わりはないと言えるんじゃないだろうか。
もちろん、最終的に罪であるかどうかは法廷で決着をつけられるべき問題だ。判例があればそれを参考にすることも出来るだろうが、キャッシュを持っていたユーザや中継ユーザが権利を侵しているかは現状では判断しかねる。
最終的に法廷に出なければならない可能性があるソフトなんてリスクが高すぎる。そして、そのリスクにユーザは気づいてるのかな?というのが俺の疑問。